②黒い天球儀

「黒い天球儀」(日食なつこ)

 

今年に入ってすぐの頃「日食なつこ」さんの音楽を初めて聴きました。それからすっかりハマってしまい、この半年の間で一番聴いたアーティストです。

 

日食さんの歌詞は、己に問いかけるといいますか、まだまだこんなもんじゃないといったイメージの力強い言葉がたくさんあって、聴いているだけで前へ進むためのパワーを分けてもらえるような気がします。

 でも強さだけが書かれているわけではなく、己の弱さにもしっかりと向き合っているからこそ、聴く人が共感できる歌詞となっているのだと感じました。

 

この歌の好きな歌詞

「見たい星があったのに別の誰かに譲るんだ優しさなんて言い張って泣くぐらいならどうぞと言うんじゃない

 初めて聴いたとき、こんな優しい歌詞があるのかと衝撃を受けました。本当に優しい人でないと、この歌詞は零れ落ちてこないと思います。

たとえ上中下、三部作の小説を読んだとしても、こんな素晴らしい一文にはそうそう出会えないのではないでしょうか。

①ザクロの実

 「ザクロの実」(植田真梨恵)

記念すべき一曲目。何の曲から始めようかと、しばらく考えてこの歌を選びました。

 

僕にとって特別な一曲。植田さんを知ったのは、まだ僕が高校生だった頃で、もうあれから7年も経つとは......。植田さんの歌を聞くまではライブに行こうとか、生歌が聴きたいとか考えたこともなくて、ずっとヘッドフォンから聴こえてくる音楽だけで満足でした。

でも「植田真梨恵」という人が歌っている姿をどうしても見たいと思い、電車を乗り継いでレイクタウンへと行きました。ほとんど遠出をしない学生だったので、レイクタウンの大きさがそれはもう衝撃的で......。

余計な話が長くなりましたが、それが「ザクロの実」のリリースイベントだったというわけです。レイクタウンのステージに立つ植田さんは、どこまでもキラキラ輝いていて眩しくて。特設ステージの音響は高音が割れてしまったり乱反射したり、といった感じだったのですが、それが却ってザクロの実という曲の感傷的な雰囲気にプラスに作用したというか、ただただ凄くて、何も考える余裕もなくポカーンと聴いて帰って来たのを今でも覚えています。

 

・この曲の好きなところ

「いつか分かり合った出会い繋がった」のところ。一回目と二回目で歌い方が全く違うのが好きです。一回目は裏声で優しく歌って、二回目は地声を張り上げて、ワーって感じで歌っているのが最高に好きです。

それから「聞こえない声が受話器ごし宙をまう」という歌詞の表現。離れたところに行ってしまった君の声が、宙をまっているかのようで手が届くことはない。と勝手に解釈をして聴いています。なんて素敵な響き。